ドラクエ　二次創作　勇者の冒険

クロスオーバードラクエの小説です。
週二回の更新を目安にして連載中。
バックミュージック
王宮のテーマ

登場人物

リュカ 　…Ⅴの主人公 Lv99　装備：王者のマント　ドラゴンの杖　炎のリング
ユーリ　…Ⅳの女勇者 Lv99　装備：天空の鎧　天空の盾　天空の兜　天空の剣　星降る腕輪
チロル　…白いキラーパンサー Lv47

勇者の冒険　第九話　旅立ち

「勇者よ、良くぞ参った！余がこの城の王、ダルフリート四世じゃ」
宝石が豪華に輝く、きらびやかな王座の上に座っているのは無骨な、白い髭の生えた壮年の男。満面に笑みを浮かべ、ユーリとリュカを交互に眺めている。
ダルフリート城の最頂部。
戦闘の後、歓声の中、揚々と城門をくぐった二人は、一度は宿屋に帰ったのだが、朝一番、王の使いに王宮に呼び出された。
「余も少々腕に覚えがあるほうじゃが、そのほうらの装備、今まで見た事もないほど立派なものじゃな。勇者よ、名をなんと言う」
「ユーリと申します、王様」
「ほうほう、勇者ユーリ、じゃな。噂では、十年ほど前に勇者は魔王軍に討たれた、と聞いたが、これで安心じゃ」
ユーリとリュカは思わず目を見合わせた。リュカが口を開く。
「王様、それはどのような噂でございますか？」
王は白いあごひげをなでながら、リュカをじろじろと見た。
「そのほうは、勇者のお供かな。いや、ただのお供ではなさそうじゃ。もしやどこかの王族ではないか？これほどの風格をもつ者など、めったにおらぬ」
さすがに武勇高きダルフリート王、ひと目でリュカの出自を見抜いた。
リュカ、優雅に、
「私は、先代グランバニア王、デュムパボス・エル・ケル・グランバニアが子、リュケイロム・エル・ケル・グランバニア。現グランバニアの王。いつもはリュカと呼ばれております」
一礼する。
リュカの脳裏に、ビアンカが居たら、なんだ、やればちゃんと挨拶できるじゃない、と言ったかな、と苦笑する。
ユーリがそれを聞き、やっぱりね、と小さくつぶやいた。
ダルフリート王は飛び上がり、
「これは失礼いたした！王のご来訪とは！が、グランバニアとな？聞いたことないのう」
首をかしげる。
「いえ、現在はただの旅人として扱っていただけたら、充分です。どうやら、私たち二人は、ここの世界ではなく、他の世界から呼び出されたようなのです」
「ふむ、ではそうさせてもらうかのう。なにやらむつかしい話じゃな」
ダルフリート王は、玉座に座り込んだ。
なにやら考え込みながらも、
「とにかく、この世界は勇者を必要としておる。魔王が現れたのじゃ。ほとんどの聖なる祠や、寺院などが魔物たちに占領されてしまった。大陸の中央に位置する竜の神を祭った竜神の沼や、女神像を祭った洞窟などは、魔物のはびこる魔の沼、魔の洞窟に変わってしまった。そして、勇者が現れたと言う矢先、その勇者が魔王軍に討たれたと言う噂が流れてきてな。東の島国、サムガドルという国の郊外に、大きな塔がある。いつ建てられたかも分からぬ、名もなき塔じゃ。そこへ勇者が向かったのだが、敵の圧倒的な戦力に、ついに負けてしまったらしい。一人、生き残った、魔法使いの証言じゃ」
「ユーリ、といったな。では異世界の勇者よ。この世界を救ってはもらえぬだろうか」
ユーリはうなづくと、
「それが勇者たるものの定め。まずは世界を平和にし、それから自分の世界に帰る方法を考えましょう」
リュカと目を合わせ、リュカがうなづいたのを見て、
「リュカも手伝ってくれます。誰が私たちを呼んだのかも気になります。まずはサムガドルへ。行き先をお教えいただけますか？」
「うむ。もちろんじゃ。ここは島国じゃから、海を渡るなら、船でお送りしよう。２ヶ月ほどの航海になる。食料や必要な道具は用意しよう。それからこれじゃ」
王が手をパンパンとたたくと、従者が二人、袋を持ってやってきた。
「受け取るが良い。昨日の戦いの報奨金じゃ。」
二人はうやうやしく受け取った。これから先、この世界でやっていくためには必要不可欠だろう。
その時、ばたばたと足音が近づいてきた。
そして突然一人の兵士が駆け込んできた。
「王様、朗報です！」
「なんじゃ、騒々しい。まあよい、申してみよ」
全力疾走して来たらしく、荒い息もそのままに、しかし一気に言った。
「北の都、ダカルリアから伝書鳩が届きました！ダカルリアに勇者が現れ、魔の沼、魔の洞窟の魔物を一掃したとのことです！」
「なんと！」

第一章完　

次回からは　第二章　SIDE　ロト
です。