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2024/04/29 15:17 |
勇者の冒険 第四話
クロスオーバードラクエの小説です。
なんだかとっても長くなりそう。週二回の更新を目安にして連載中。
ただ、今は興が乗ってるので、毎日更新中。

登場人物

リュカ  …Ⅴの主人公
ユーリ …Ⅳの勇者

勇者の冒険 第四話 リュカと魔物

リュカとユーリは、湿地帯を半日ほどかけ歩き、乾いた山肌に移動した。
ユーリの話によると、山の中腹から、遠くに道らしきものを発見したらしく、移動中に、リュカの召喚に気がつき、あわてて引き返したのだそうだ。
あたりは暗くなってきている。
できればまだ明るいうちに安全な所まで移動したい。
二人は静かに、あたりを警戒しながら前進した。。
あれから二度、モンスターが襲ってきたが、二人の相手ではなかった。
改めてリュカとユーリはお互いの強さを確認した。
ユーリは、リュカの息子の勇者よりも、あきらかに動きが洗練されており、息子は天空の装備に使われている感じが多少あったが、ユーリは完璧に使いこなしていた。
一方、ユーリは、リュカの事を自分の知っている誰よりも頼もしく感じられた。
純粋に腕力だけなら、ユーリの知っている戦士の方があるかもしれない。
しかしリュカは、戦術、経験、身のさばき方、そして呪文。どれもが一流だ。
そして何よりも、若さに似合わず、すでに王者の風格を備えていた。
暗くなってきた山肌を、慎重に歩く。
すると…、ドシン、ドシン、ドシン、ドシン、大きな足音が近づいてくる。
かなりの早さだ。岩の脇からだ。
二人は無言で武器を構える。
瞬間、目の前を白いモノが走り抜け、くぼんだ所に入り込み、一瞬、どっちに行こうか迷ったようだ。
その一瞬が命取りだった。
岩陰から、巨大な鈍い金色のドラゴンが現れると、追い詰められてしまった。
もう逃げられない。
良くみると、白いパンサーだ。乳白色の毛皮は、血でまだらになっている。
うなり声を上げ、ドラゴンを見上げるが、ドラゴンの方は口から炎を漏れ出し、今にも炎を吐きそうだ!
リュカはとっさに言った。
「グレイトドラゴンだ!助ける!」
ユーリが何かを言うよりも早く、リュカはグライトドラゴンに突進し、改心の一撃を放つ!
グレイトドラゴンは、いきなりの横からの攻撃に面食らったようだ。
そのまま間髪いれずに打撃をいれ、ユーリが放ったライデインが止めを刺す。
一瞬の出来事だ。
グレイトドラゴンは巨大な轟音と共に、その場にくず折れた。
リュカは、静かに白いパンサーに近づいた。
白いパンサーはリュカに向かってうなり声を上げる。
が、すでに力が入らないようだ。その声には元気がない。
「よし、いい子だ。今から少し触るが、我慢してくれないか」
じっと目を見つめ、話しかける。
すると、白いパンサーは、なぜだか、自分が、うなっている事が不思議に思えて来た。
この人間は私に危害を加えない。
それを本能で感じ取ったのだ。
それでも、リュカが近づくと、理性で小さくうなった。あのドラゴンを一瞬で倒した相手に、何をやっても無駄だろう、と思ったのかもしれない。
リュカは静かに白いパンサーに触れると、集中して呪文を唱えた。
「わが魔力よ、この者の傷を癒したまえ。ベホマ。」
手のひらにあふれた光が、吸い込まれるようにパンサーの体に消えて行った。
それを見届けると、やさしくパンサーの頭をなでた。
パンサーはおとなしくしている。
しばらくそうしてから、静かに後ろに下がる。
すると、のどを鳴らしながらついてきた。
「はじめて見たわ。魔物をなつかせるなんて」
ユーリがあっけに取られて言った。
「私はそういう血筋らしい。魔物と会話ができる」
リュカはもう一度、パンサーの前にしゃがみこむと、のどをなでながら話しかけた。
「お前、一緒にくるかい。そうか。どうやら。キラーパンサーの親戚みたいだな。じゃあ、名前を付けよう」
一瞬、子供のとき、ビアンカと一緒にキラーパンサーの名前を付けたのが頭をよぎった。
にこりとすると、
「よし、お前の名前はチロルだ。よろしく、チロル」
チロルはうれしそうにのどを鳴らした。
「よかったわ、頼りになる旅の仲間ね。よろしくね、チロル」
驚いた事に、チロルはユーリにも頭を下げた。
「この子は頭がいいかもしれない」
ユーリもびっくりしてうなづいた。
「そうね。…リュカ、ちょっと私が見つけたものをみてくれる?」
そしてそう言うと、ユーリは手に持ってたものをリュカに差し出した。
ゴールドだ。両手のひらにいっぱいある。
「それは?」
「さっきのドラゴンよ」
ドラゴン族はゴールドが好きだ。
人を襲ったら、ゴールドをお腹の下の大きなうろこの後ろに隠すのだ。これは、どのドラゴンも変わらない。
リュカははっとした。
「では人がいるんだね」
ユーリはうれしそうに言った。
「そう、ほら、人の肖像画。この世界の偉い人ね」
ゴールドを夕日に照らしながら見つめている。
リュカは言った。
「では急ごう。山の上から、街の明かりが見えるかもしれない」

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2007/08/31 17:02 | Comments(0) | TrackBack() | 勇者の冒険

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